2026年度、診療報酬の引き上げが予定され、
医療現場でも「賃上げ」への期待が高まっています。

ただ、ここで一つ冷静に考えたいのが 「物価(インフレ)」 です。
日本銀行は
「物価安定の目標」として 消費者物価の前年比2% を掲げています。

もし給料が上がっても、
物価がそれ以上に上がれば、
実質的に使えるお金は減ってしまいます。
この記事では、
現役の看護師目線で、次の3点を整理します。
- 「実質的に豊かになる」とはどういうことか
- 日本のCPI(消費者物価指数)の推移(直近10年)
- 診療報酬改定による賃上げをどう考えるべきか
診療報酬改定によって生活はラクになるのでしょうか。
結論:生活がラクになるかは「実質賃金」で決まる
2026年度の診療報酬改定で生活がラクになるかどうか。
それを判断するには 実質賃金 を見る必要があります。
- 名目賃金:給料が何%増えたか(額面)
- 実質賃金:物価を考慮して、実際に買える量がどう変わったか
実質的な豊かさは、次の式で考えられます。
実質的な豊かさ
= 給料の上昇率(名目) − 物価の上昇率(インフレ)
給料が上がっても生活が苦しくなる例
- 給料アップ:+2%(手取りが少し増えた!)
- 物価アップ:+3%(食費や光熱費がもっと増えた…)
👉 実質 −1%(生活水準は下がっている)

つまり、
インフレ率以上に給料が上がらなければ、私たちは実質的に貧しくなる
ということです。
日本の消費者物価指数(CPI)推移|インフレ時代の到来

実際の物価はどうなっているのでしょうか。
総務省統計局が公表している
消費者物価指数(CPI・総合)を見てみましょう。
日本のCPI(年平均・前年比)
- 2016年:−0.1%
- 2017年:+0.5%
- 2018年:+1.0%
- 2019年:+0.5%
- 2020年:0.0%
- 2021年:−0.2%
- 2022年:+2.5%
- 2023年:+3.2%
- 2024年:+2.7%
- 2025年:+3.2%
2021年頃までは
「物価がほとんど上がらない国」でした。
しかし2022年以降、状況は一変。
毎年2〜3%ずつ物価が上がるインフレ時代に入っています。
定期昇給があっても、
昇給率が2%未満なら 実質的には給料ダウン です。
診療報酬の賃上げはインフレに追いついている?

看護師の給料の原資となるのが「診療報酬」です。
政府はインフレに対応するため、
2024年度の診療報酬改定で
「ベースアップ評価料」 を導入しました。
これは、病院が看護師などの
基本給の引き上げ(ベースアップ) を行った場合、
その費用を診療報酬で評価・補填する仕組みです。
- 2024年度:+2.5%程度
- 2025年度:+2.0%程度
さらに、2026〜27年度改定では
全体改定率(2年平均+3.09%)のうち
賃上げ対応分が約+1.7% と整理されています。
※ 厚生労働省・中医協資料より
重要|改定率と「あなたの給料」は別物
ここは特に誤解されやすい点です。
診療報酬改定率 ≠ あなたの給料の上昇率
- ベースアップ評価料を算定しているか
- その原資をどこまで職員に還元しているか
によって、結果は大きく変わります。
制度があっても、
職場によってはインフレに給料が追いついていない
という状況は十分にあり得ます。
給料が上がっても「生活が苦しい」3つの理由
① インフレ率(約3%)に賃上げが負けている
→ 名目アップでも実質マイナス
先ほどの計算式の通り、給料が2%上がっても物価が3%上がれば「実質マイナス」です。
② 社会保険料・税金の増加
→ 額面が上がるほど手取りは伸びにくい
給料(額面)が上がると、引かれる税金や社会保険料も増えます。手取りベースで見ると、上昇幅はもっと小さくなります。
③ 賃上げが一時金・手当中心
→ 基本給が上がらず、将来に効かない
ボーナスや一時的な手当での支給だと、残業代や退職金の計算基礎となる「基本給」は増えません。長期的な安定感に欠けてしまいます。
じゃあどうする?看護師ができる3つの対策
① 給与明細を確認する
- 「ベースアップ手当」
- 「処遇改善手当」
が入っているかをチェックしましょう。
② 賃上げに積極的な病院を知っておく
転職しなくても、
情報を知っているだけで選択肢になります。
③ 資産形成でインフレに備える
預金だけでは、
インフレ時代に資産価値は守れません。
新NISAなどを活用し、
長期・分散・積立 の資産運用でインフレに対抗する視点も必要です。
家計管理で支出を減らすことも重要です。
まとめ
- 日本はすでに年2〜3%のインフレ時代
- 診療報酬改定で賃上げの仕組みはできた
- しかし生活は「実質賃金」で見なければ判断できない
「一生懸命働いているのに、生活がラクにならない」
それはあなたのせいではなく、
経済環境の変化が原因かもしれません。

まずは
「実質賃金」を意識することから始めてみましょう。



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